今回は、足首の捻挫では治るまでにどのくらいの時間が必要なのか、
どんな処置をして、普段はどうしたらいいのか、リハビリは必要なのか、についてご紹介いたします。
まずはじめに、「捻挫」とはどんなものなのか。
捻挫とは、骨と骨をつなぐ靭帯(じんたい)が無理やり引き伸ばされて、伸びたり切れたりする怪我のことです。
だから、関節部に起こるもので関節でないところ、スネとか太ももとか、そういうところには起きようがありません。
あくまでも教科書的ではありますが、治るまでに3週間の時間が必要になります。
実際には、多少の増減があります。症状の重さ、年齢、普段の活動性、栄養状態など様々な要因で変わってきます。
痛みが強かったり、内出血がでるようであれば、1週間で治ることはないということをまずは知っておいてください。
捻挫の程度は、1~3度で分類されます。重いほど治るまでに時間が掛かります。(上の書いた3週間は1度の場合です)
という感じです。定規をあててこの数値だからこう、みたいな厳密な分類ではありません。
内出血があるということは、ほとんどの場合靭帯に切れている部分があると考えられて2度以上といえそうです。
完全に切れている3度だと、現実的にはものすごい内出血が出て、痛みもかなり強くなります。足首より下が真っ黒になり、松葉杖がないと歩けないという感じです。
治るまでの期間の増減に年齢も影響があります。若ければ若いほど一般的には早いです。歳をとればとるほど遅くなってしまいます。
小中学生はかなり早い感じがするし、60代以降になるとだいぶ遅くなるなという感じです。
壊れたところに負担をかけ続けたらなかなか治らないだろうな、というのは誰しも想像できると思います。
「痛くても練習する。」これだと治るものもなかなか治らなくなります。
治療期間中の処置として、ある程度の固定をします。その人の聞きわけの良さとか、仕事状況とか、そういうのを考えながら固定強度を変えます。
軽めの症状、1度くらいであれば、サポーターやバンドを使った、患者さん自身の固定で済ますことが多くなります。お風呂なども入りやすいです。痛くても練習するとか、指示をしてもあまり聞いてくれそうもない方の場合には、硬めのサポーターなどを勧める場合があります。
2度~3度くらいになると、それなりの固定が必要になります。
よくある1度~軽い2度くらいだと標準的な3週間程度で、痛みが消えてきて、日常生活が普通に送れるようになってくることが多いです。ここから先はリハビリ期間。関節の動く範囲が狭くなっていればそれを戻すようにしたり、筋力低下が起きていれば、多少のトレーニングを行う必要がある場合もあります。1度くらいであれば、何もしなくても大丈夫な場合もあります。
1度位の捻挫で教科書的な3週間がたっても腫れは引かない場合があります。
そもそも医療の世界でいう3週間は、「日常生活に戻れるレベル」で「全く元通りになる」までのものではありません。
人によっては数カ月も腫れが引かない場合があります。
この場合には、実際に捻挫した場所だけでなく下半身全体、全身のチェックをしてもらってもいいです。どういうことかというと、身体全体の重心が捻挫をした側に偏っていれば患部への大きな負担が掛かりっぱなしになっている可能性があるということ。
ただ、たいていは痛みもなくなり日常生活にも支障がないので、いつの間にか治った状態になることが多いです。激しいスポーツをするのでなければ、そのまま自然治癒を待ってもいいと思います。
捻挫のような怪我は、治るまでに絶対的に必要な時間があります。たいていの場合、数日で治ってしまうことはありません。治ったとすれば、捻挫じゃなかったか本当に軽かったということでしょう。
通常は一般の方が思っているよりは長い期間が必要になります。
少しでも早く治すにためには、
・ちゃんとした処置(固定)
・安静を保つ(運動しない)
・充分休養を取る
・バランスの良い食事を心がける
などが必要です。
実は、治療回数を増やすよりも、そういった日常でのご自身の努力の方が実を結びやすいです。
焦る気持ちも理解できますが、じっくり治すことが重要です。